オーナーから皆さまへ

「Piano Studio Grazia(スタジオ・グラツィア)」オーナー矢野孝高野

「Piano Studio Grazia(スタジオ・グラツィア)」 を作るきっかけについて

わたしは、ひとりのピアノ奏者としての想いがありました。
それは、「もっと上手くなりたい」ということ。

もっと技術レベルを上げたい。
もっと理想の音色を奏でたい。

だけれども、なかなかレベルアップを実感できずにいました。
ピアノ教室の講師として30年以上活動してきました。
それなりのレベルはあります。
ですが、何かが足りない。
そんな行き詰まりを感じていました。

何かを変える必要がある。

では、今の自分の技術レベルをもっと高めるには、何を変えたらよいのか。
もっと理想の音色を奏でるようにするには、どうすればよいのか。

その問いに対して行きついたのが、理想の音色を奏でる3要素です。

わたしが考える、理想の音色を奏でる3要素は以下。

・ピアニスト
・ピアノ
・室内環境

つまり、わたし以外の2つの要素「ピアノ」「室内環境」を変える事によって、自分も変わりたいと考えたのです。

ピアニストの誰もがあこがれる名機「スタインウェイ&サンズ」で弾くことができたら。
クラシックホールというと名前が浮かぶ「サントリーホール」の残響のような環境で弾けたなら。

最高のピアノと、最高の室内環境。
この2つが揃う事で、ピアノと環境が私を理想の音色に導いてくれるのではないか、と考えたのです。

それが、「Piano Studio Grazia(スタジオ・グラツィア)」 を作るきっかけとなる想いでした。

「Piano Studio Grazia(スタジオ・グラツィア)」オーナー矢野孝高野

最高のピアノを求めて

最高のピアノといっても、世界にはいろいろなメーカーのピアノがあります。
その中でも、「スタインウェイ&サンズ」は以前から気になっていました。

コンサートホールや先生宅で弾く機会も多く、華やかな音が気に入っていましたし、
先生や調律師さんにもお勧めされていました。

ただ私がピアノを探していた2022年は、ウクライナ紛争やコロナといった社会情勢もあり、「スタインウェイ&サンズ」のピアノは、新品も中古もなかなか手に入らない状況でした。
お店からの入荷の連絡を待っては試弾をしに行きましたが、なかなかこれといったピアノに出会うことができませんでした。

そんなあきらめムードが続いていたときに出会ったのが、クラウンジュエルのB-211モデル。
スタインウェイのグランドピアノのなかでも「完璧なピアノ」と称されるB-211 の、ローズウッドの木目がとても美しいモデルでした。
しかも、2014年製と比較的新しく、ほとんど弾かれず観賞用として飾られていたそうで、消耗もなく状態も非常に良いものでした。

実際に指弾させてもらうと、その弾きやすさ、パワフルさ、低音の重厚感、高音のキラキラした響きに、すっかり魅せられてしまいました。

『良いピアノが弾き方を教えてくれる』という言葉がありますが、このピアノなら良い先生になってくれるに違いない、と確信しました。

先生にもピアノ講師仲間にも『試弾してまわっているといつかコレ!と思うものに出会う』と聞いていましたが、私にとってまさにそれがこのピアノだったのです。

こうして、「スタインウェイ&サンズ」の「B-211」モデルを無事スタジオにお迎えできる事になりました。

「Piano Studio Grazia(スタジオ・グラツィア)」「STEINWAY&SONS(スタインウェイ&サンズ)」 「B-211」モデル

最高のスタジオ残響音を求めて

「Piano Studio Grazia(スタジオ・グラツィア)」オーナー矢野孝高野と小笠原清隆氏(「小さな音の設計室」

理想の音色を奏でる要素の最後の1つは、室内環境です。

ピアノという楽器は、室内で演奏する楽器です。
そのため、室内の影響を大きく受けるのです。

コンサートホールのような高い天井や広い容積の部屋はとても望めません。

「コンパクトな室内で理想の残響音を実現するには」というところからスタートしたスタジオ設計ですが、満たす条件は山ほどありました。

防音や遮音のことも考えなくてはならない。
自宅ゆえの天井の低さ、重いピアノや設備を支える床・・・

よくある部屋の中の床や壁などに防音・遮音対策用の材料を使うような対処法的なやりかたでは、理想の残響音は実現できない。

そういった難題を乗り越えるために、今回スタジオの設計をお願いしたのが、音楽家でもあり設計士でもある小笠原清隆氏(「小さな音の設計室」)です。

小笠原氏はバイオリニストでもあるので、クラシック音楽やコンサートホールの音などについても、確かな基準やこだわりを持たれています。
現在のピアノレッスン室(江東区)の施工もお願いしていたこともあり、とても信頼がおけました。

実際に設計を始めると、戸建て住宅の一部という容積に制限がある中で、コンサートホールのような残響音を実現するというバランスは、とてもむずかしいものでした。

ですが、試行錯誤を重ね、「サントリーホールのような残響音をコンパクトなスタジオで実現する」というコンセプトを叶えるスタジオを完成させることができました。

「Piano Studio Grazia(スタジオ・グラツィア)」オーナー矢野孝高野と小笠原清隆氏(「小さな音の設計室」

ピアニストにとっての理想の環境の実現

こうやって、理想の音を奏でるための3要素「ピアニスト」「ピアノ」「室内環境」を整えることができました。
「これでわたしも、さらなる技術の向上、成長ができる」という夢に向かうことができます。

ただ、このスタジオを作っているうちに、もう1つの想いが出てきました。

それは、このスタジオを、音楽を愛する人、音楽の世界を担う若い人たちにも使ってほしいという想いです。

自分ひとりで、ピアノをこのスタジオで弾ける時間は限られています。
であれば、もっとこの素晴らしいピアノと環境を開放をしてもよいのではないかと。

最近は、ピアノを弾いたり、音楽を楽しむことが、ボケ防止にもよいと聞きました。
これからは高齢化社会。
わたしと同世代をはじめ、元気な笑顔あふれる高齢者たちを増やすということでも、このピアノやスタジオを社会のために役立てたいなとも思っています。

「Piano Studio Grazia(スタジオ・グラツィア)」 を起点として、音楽を愛する人を、すこしでも多く笑顔にしたいと思っています。

今後とも「Piano Studio Grazia(スタジオ・グラツィア)」 を、よろしくお願いいたします。

「Piano Studio Grazia(スタジオ・グラツィア)」オーナー矢野孝高野と小笠原清隆氏(「小さな音の設計室」